新騒音指標 9ヵ所基準超え 常態化裏付け


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夜間、住宅地の上空を通過し着陸するオスプレイ=9日午後10時17分ごろ、宜野湾市の普天間飛行場

 2013年度から施行された改正環境基本法の新たな騒音指標Lden(エルデン、時間帯補正等価騒音レベル)を導入した県の2013年度米軍航空機騒音測定結果が23日までに発表され、米空軍嘉手納飛行場周辺18測定局のうち8局、米海兵隊普天間飛行場で13測定局のうち1局で環境基準を超えた。

常態化する米軍飛行場周辺の騒音を裏付けた。

 垂直離着陸機MV22オスプレイ特有の低周波音など回転翼機(ヘリコプター)の騒音が特徴的な普天間飛行場周辺で基準を超えたのが、1局にとどまったことに対し、識者は「固定翼機(ジェット機)の多い嘉手納と比べ、騒音評価が低めに出ることがより顕著になった」と指摘した。
 発表によると、嘉手納飛行場周辺では砂辺局で72デシベル(基準値62デシベル)、屋良B局で70デシベル(基準値57デシベル)などで大幅に基準を上回った。屋良B局では夜間から早朝(午後10時から午前6時)の1カ月の平均騒音発生回数が175・3回を記録した。普天間飛行場では上大謝名局で62デシベル(基準値57デシベル)と大幅に基準を上回った。
 同調査に旧指標のW値(WECPNL、うるささ指数)を適用した場合、嘉手納飛行場で18局中9局、普天間飛行場で13局中2局が基準値を超えた。
 騒音に詳しい琉球大学工学部の渡嘉敷健准教授によると、W値もエルデンも同様に、低音が聞き取りづらい人間の聴覚特性(A特性)で計測するため、低周波音をはじめとする回転翼機の騒音を評価しにくいという。世界保健機関も、低周波を多く発生する航空機にA特性計測はなじまないとの立場だ。
 渡嘉敷准教授は、年間平均値の算出だけでなく、季節ごとや訓練の激しい時期での計測など、県民のうるささの実感に合った計測調査や、国、県による低周波音の常時測定調査を求めた。

<用語>Lden(エルデン、時間帯補正等価騒音レベル)
 従来のうるささ指数(WECPNL=W値)に代わって、2013年度から施行された改正環境基本法の新たな騒音指標。環境基準値は住宅地で57デシベル以下(W値は70デシベル以下)、それ以外で62デシベル以下(W値は75デシベル以下)。計算式上、W値から平均13ポイント低くなる。地上の騒音を含めた騒音総暴露量を相対的に評価する指標で、国際的主流となっている。