育った施設に恩返し 南城「島添の丘」


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手作りの料理を振る舞った(後列左から)與儀一信さん、我那覇浩さん、久保田エミさん=20日、南城市の「島添の丘」

 【南城】育ててくれた施設に恩返しを―。南城市大里の児童養護施設「島添の丘」の卒園生らが20日、同施設を訪れ、にぎりずしやちらしずし、魚のあら汁などを手作りし、在園生や職員約80人に振る舞った。

施設を巣立った先輩たちによる心のこもった食卓に、子どもたちは「おいしい」と顔をほころばせた。卒園生が自主的に集まり、在園生に手作りの夕食を振る舞ったのは初めて。
 「島添の丘」を卒園し、現在は宮古島市の居酒屋で働く與儀一信(かずあき)さん(33)を中心に、卒園生らが呼び掛け合って実現した。伊良部島で水揚げされたばかりの新鮮なマグロ1匹、カツオ3匹計20キロに加えて、3升の米など、食材は全て卒園生らの持ち込み。学校から帰った子どもたちは、與儀さんらが、料理を仕込んでいるのをのぞき込み「いいにおい」「おいしそう」と目を輝かせていた。
 すしを食べた高校1年の女子は「みんなすしが大好き。うれしかったし、おいしかった」と大満足。「先輩たちのように、卒園後は自分たちも施設にボランティアができたら」と語った。中学3年の女子は「巣立った先輩たちの頑張っている姿を見て、私も高校受験を頑張ろうと思った」と話した。
 與儀さんは「楽しかった。子どもたちを喜ばせることができて満足した」と笑顔。盛りつけを手伝った久保田エミさん(31)は「生き生きしている子どもたちの姿にうれしくなった。今後も機会があればまた実施したい」と話した。
 卒園生を幼少のころから知る新垣和彦養護課長は「こうやって卒園後も施設を訪ねてくれるのはうれしい。子どもたちの励みにもなる」と目を細めた。