津波浸水想定、県内215校 全国2番目の多さ


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 文部科学省が全国の公立学校を対象に実施した津波による浸水が想定される学校数の調査結果が28日発表され、県内は公立学校732校のうち、215校で津波による浸水が想定されている。

全国では約4万校のうち浸水想定校は39府県の2860校で、沖縄は大阪の250校に次いで2番目に多かった。全学校数に占める浸水想定校の割合でも、全国平均の7・2%に対し、県内は29・3%と4倍で、海に囲まれた島しょ県特有の課題が浮かび上がった。
 県内の浸水想定校のうち、対策を「検討中」との回答が83校(38・6%)に上り全国3番目に多かった。全国では対策が検討段階にとどまっている学校が37%の1066校あり、東日本大震災から3年以上が過ぎても一部で取り組みが遅れている実態もうかがえる。
 県内の浸水想定校215校の内訳は幼稚園70、小学校85、中学校42、高校・特別支援18。施設整備による対策について、約半数の96校(44・6%)が「従来の施設で安全性が確保されており、対策の予定なし」と回答した。県教育庁施設課は「グラウンドの一部が浸水するだけでも『浸水想定』にカウントされている。実際には校舎までは被害が及ばない所もあるため」と説明した。一方、「対策を検討中」とした学校が多いことには「多くの学校が改築に合わせて対策を計画している」とし、今後2~5年以内に改築が予定されている学校が「検討中」と回答したためと説明した。
 調査は公立の幼稚園、小中、高校、特別支援学校が対象。都道府県や市町村による津波被害想定やハザードマップに基づき、最大級の津波で浸水の可能性がある学校について、5月1日時点の対策状況を各教育委員会に尋ねた。
 全国では、南海トラフ巨大地震に伴う甚大な津波被害が懸念される静岡や和歌山、徳島などは「対策済み」の比率が高く、同地域以外の府県では低い傾向が見られた。

<用語>学校施設整備指針
 学校教育を円滑に進める上で必要な施設機能の確保を目的に、校舎を新築・改修する際の基本的な考え方を示した政府指針。幼稚園、小中学校、高校、特別支援学校の5種類があり、対象は国公私立を問わない。学校の津波対策を検討した有識者会議の報告を受け、文部科学省が7月に改定。近隣に避難場所がない校舎の高層化や高台移転を求めたほか、地域住民の避難先になることも想定して自家発電や多機能トイレの整備、非常食備蓄への対応なども促した。

浸水が想定される県内公立学校の内訳
浸水想定校の対策