沖縄食糧が県産米を香港に輸出へ 直接貿易で拡大視野


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 沖縄食糧(浦添市、竹内聡社長)は、県産米をアジアなど海外に輸出する取り組みを進めている。ことし4月に貿易準備室を設立、輸出に適した国などの情報収集を進める。9月には大阪の業者を通じて間接貿易で香港に米8トンを輸出した。今後は直接貿易を目指して、香港のほか沖縄から直航便のある台湾を皮切りに、他の国への輸出も視野に入れる。

11月末に開催される商談会の沖縄大交易会に参加して、海外販路拡大も狙う。
 香港へは9月、石垣島産のひとめぼれと北海道産のゆめぴりか合わせて8トンを輸出した。浦添市の沖縄食糧の倉庫から米を積み込み、いったん大阪に輸送。大阪の業者を通して香港へ輸出した。
 沖縄食糧の担当者は「航路やルートを探すのが大変」と苦労を説明する。空輸便だとコスト的に合わない。今回は船便で9月12日に沖縄から発送、大阪を経由して10月中旬に香港に届いた。さらに香港でも検査などが約1週間かかり、店頭に並んだのは発送から約1カ月たった10月15日ごろだったという。
 その他のルートでも沖縄から福岡、韓国・釜山を経由して香港に行く船便があるが、12~15日かかる。乗せ換えの日数も必要となる。
 物流のほかにも、国によって食品防疫の検査が異なり、国ごとの対応が求められるのも課題だ。
 担当者は「お米は生鮮品なので、なるべく早く届けたい。だが香港では米の賞味期限が1年と記載していて、日本の感覚と違うところがある。香港への直航便があればいいが」と話している。
 海運をめぐっては、ことし6月に琉球海運が那覇―台湾・高雄航路を42年ぶりに開設。8月には南西海運が2012年に運航した台湾航路を高雄に延伸した。さらに那覇港管理組合は那覇―香港直航便の定着への課題を検証する社会実験を予定しており、輸出産品が増えることは海運物流の安定化にも寄与する。
(滝本匠)