マカオに響かせる沖縄 2side 1BRAIN


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マカオの観客1500人に勢いあふれるサウンドをぶつけ魅了する「ツーサイド・ワンブレイン」=11月22日、マカオのマカオ文化センター

 「沖縄」の2文字を背負い音をぶつけ続けた。県出身ロックバンド「2side 1BRAIN(ツーサイド・ワンブレイン)」が11月22日、マカオのマカオ文化センターで同地を代表するロックフェスティバル「HUSH!! FULL BAND2014」に出演し、約1500人の観衆を圧倒した。

 ステージ後方の大型スクリーンにメンバーの写真とバンド名が映し出されると、観客から歓声が上がる。そしてそれは登場と同時にボリュームを増していく。ショーはボーカル・シュンタロックの恒例の第一声「We are 2side1BRAIN!」で火ぶたを切った。既に日が落ちた野外ステージで色とりどりの照明を浴びながら、4人で重ねた音はこの日、7曲分の思いを畳み掛けた。激しく重く刻んだリズムの上ではひずんだギターが疾走感をもって鳴り響き、ボーカル・シュンタロックの叫ぶような歌声が会場を包んでいる。縦横無尽にステージを駆け巡るメンバーに観客は腕を突き上げるなどして応えた。
 ギター・メグが広東語で観客をあおったまま突入した2曲目「Under the winter sky」では、福島第1原発事故後から今に至るまでの政府の対応に抱いた疑問をテーマに「嘘はもうたくさんだ」と英語でメッセージを投げ掛けた。
 毎年同イベントに訪れているという大学生のウォン・ホ・ヘイさん(19)の「最高だった。もっと日本のバンドにもどんどん来てほしい。はしゃぎすぎて持ち物をいくつかなくしてしまった」と興奮気味に話した。
 ことしで10年目となるこのイベントでは毎回アジア各地からのロックバンドを招いている。今回は地元マカオの9バンドに加え、沖縄、北京、バンコク、台北、香港の5都市から1バンドずつ。「ツーサイド-」はこれまで台湾や香港、米国などで重ねた公演が評価され、出演につながった。本公演が海外19回目となった。
 数日前まで体調を崩して入院しており、本番の約3時間前に会場入りする執念を見せたシュンタロックは、香港の空港からマカオへ向かうフェリーの中で取材にこう答えた。「これからの時代、国内だけを見ていてはいけない。沖縄は昔からアジアの中継点に位置している。東へ行くのもあり、西へ行くのもありだ」。海外のバンドとも交流を続ける中で「沖縄にもどんどん海外のバンドを呼べる」と、沖縄と海外を結ぶ音楽シーンの広がりに可能性を感じている。(長浜良起)