非戦の種「つなぐ」 南風原子ども平和学習20年


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熱のこもった朗読で平和への思いを伝える福広太郎さん(左)、名嘉一心さん=12月28日、南風原文化センター

 【南風原】南風原町子ども平和学習交流事業20周年と同事業OB会結成10周年を記念した朗読劇「つなぐ種」が12月28日、南風原文化センター企画ホールで開かれた。大人になったOBたちが小学生当時に体験した交流事業をあらためて振り返り、現在の目線で平和への思いを見詰め直した。

 朗読劇はOB会のアオギリ.com(ドットコム)らが主催した。長元洋(ひろし)さんが脚本・演出、福広太郎(こうたろう)さん、名嘉一心さんが朗読を務めた。
 受け取った平和への思いを種に例え、継承と共有というテーマで内容を紡いだ。被爆体験の語り部として活動していた広島の沼田鈴子さんらとの20年前の交流を紹介し、人との出会いや温かさに感謝の思いを込めた。
 その一方で、人権や差別、沖縄戦などを学ぶ過程で浮かび上がった当事者の苦しみ、矛盾や葛藤、交錯する複雑な思いなども織り交ぜ、かみしめるように振り返った。
 長元さんは「小学生のころの体験を、自分たちの今の目線で見詰め直す機会にしたかった」と語った。音響や照明、スライドを効果的に用い、熱のこもった抑揚のある朗読で観客を引き付けた。
 同事業には20年間で214人が参加してきた。上原智美さん(14)=南風原中2年=は「かなり刺激を受けた。平和についてもっと深く学ぼうと思った」と語り、祖納元(そなもと)朱里さん(13)=同中1年=は「体験で得たことを後輩へ伝えることの意味と大切さを実感した」と話した。