芥川賞に小野正嗣さん 直木賞は西加奈子さん


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 第152回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は小野正嗣さん(44)の「九年前の祈り」(「群像」9月号)に、直木賞は西加奈子さん(37)の「サラバ!」(小学館)に決まった。

 小野さんは大分県生まれ。立教大准教授。受賞作は、カナダ人の男性と別れ、幼い息子を連れて故郷の集落に戻ってきたシングルマザーの心情を丁寧に描いた。4度目の候補で受賞を決めた。
 選考委員の小川洋子さんは「小野さんはずっと、(大分県の)土地にこだわってきた。今回、土地の持つ力がとてもうまく小説として結実した」と評価した。
 小野さんは記者会見で「自分が生まれ育った大分県南部の蒲江(佐伯市)という土地を書いたことが評価されてうれしい」と晴れやかな表情で喜びを語った。
 西さんはイラン・テヘラン生まれ。2004年に「あおい」でデビュー。受賞作は、傷つくことに臆病な男の挫折と再生を描く成長物語。2度目の候補での受賞。
 西さんは元気よく「お願いします」と言いながら登壇。「うれしいという言葉しか浮かばない」と満面の笑み。
 選考委員の林真理子さんは「欠点は多いが、それをしのぐ力強いメッセージがある。快刀乱麻のような手腕は天才的」と話した。
 贈呈式は2月中旬、東京都内で開かれる。賞金は各100万円。
(共同通信)