障がい越えゴール誓う 赤嶺さん、久米島トライアスロンへ


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久米島トライアスロンに出場する赤嶺政則さん。本番に向け、海で水泳の練習を重ねている=10日、南城市奥武島

 【豊見城】原因不明の病と言われる「脊髄動静脈奇形」を患い、下半身まひの障がいを抱える豊見城市の赤嶺政則さん(52)が、3月8日に開催される「第1回久米島トライアスロン大会」(同実行委員会主催、県、琉球新報社共催)に、障がいのある仲間と3人1組で出場する。

10日、南城市奥武島での合同練習に参加し、約1時間にわたりスイムの特訓をした。赤嶺さんは「どこまでできるか挑戦してみたい」と力強く語る。
 発病したのは2011年4月。突然歩くことができなくなり、寝たきりの入院生活が始まった。
 当時、豊見城消防で救助兼訓練隊長として勤務していた赤嶺さん。医師から「完全に回復する可能性はない」と言われ、絶望のふちに立たされたが、諦める訳にはいかなかった。家族や仕事、守りたいものや挑戦したいことがたくさんあった。
 「諦めるのはいつでもできる。もう少し、あと少し頑張ろう」
 周囲から止められるほどリハビリに打ち込み、両つえを使って歩けるようになった。発病から2年後には職場復帰を果たした。
 トライアスロン出場を決めたきっかけは、あるテレビ番組。険しいコースで有名なハワイ・トライアスロンで、出場者の一人が全身まひの息子を自転車やボートに乗せて一緒にゴールする姿に感銘を受けた。
 「一人では無理かもしれないが、仲間と一緒ならゴールできるかもしれない」。リレー種目のある久米島トライアスロンへの参加を決意した。 
 思いに応えたのは、両足義足のランナーで知られる島袋勉さん(51)と右腕に先天的障がいのある金城晃仁さん(42)=豊見城市。赤嶺さんがスイム2キロ、島袋さんがバイク66キロ、金城さんがラン20キロ。総距離88キロに挑む。
 「病気や障がいを抱え悩んでいる人の、生きる勇気や目標を見つけるきっかけになりたい」と赤嶺さんは語る。
 トライアスロン本番まで約1カ月半。日々練習を重ね、自分の限界に挑んでいる。(赤嶺玲子)