DV被害者を経済支援 「樫の木基金」設立10周年


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DVの被害を受けた女性を支援しようと設立され、10年目を迎えた「樫の木基金」の運営に関わる国際ソロプチミスト沖縄の会員=1月22日、那覇市久茂地の同沖縄事務局

 配偶者や恋人などからDV(ドメスティックバイオレンス)被害を受けた女性たちを経済的に支援する「樫(かし)の木基金」が、2005年の設立からことしで10年目を迎えた。基金は管理職や専門職として働く女性たちでつくる奉仕団体「国際ソロプチミスト沖縄」が設立した。

県女性相談所や一時的な住まいを提供している「しののめケアハウス」で過ごした被害女性に対して5万円を上限に生活資金を無利子で貸与する。保護命令などの手続き費用を支給し、被害者を支援してきた。
 ソロプチミスト沖縄内に設けられた「樫の木委員会」が実務を担っている。渡名喜よし子委員長は「女性と女児の生活向上を目指すソロプチミストの理念の下、活動してきた。家を借りて自立へつなげた人もいるという話を聞いている。今後も継続したい」と話した。
 元裁判官で、同沖縄の会員だった大城光代さんが発起人となり、基金設立を呼び掛けた。茶道裏千家前家元の千玄室大宗匠からの募金を中心に総額130万円が集まった。設立当初は県女性相談所を介して生活資金を支給していたが、10年以降は「しののめケアハウス」にも対象を広げている。
 10年間の支援件数は133件に上り、支援金額は総額707万円、うち390万円が返済された。同委員会の会計を務める中村澄子さんは、貸与や支給に充てる資金について「県男女共同参画センターなどに募金箱を置き協力を求めている」と説明する。
 ソロプチミスト沖縄副会長の翁長孝枝さんは「(日本は女性の)5人に1人がDV被害を受けた経験があり、20人に1人が生命の危険を感じるほどの暴力を受けた経験があるという調査がある」とDV被害の深刻さに言及した。
 ことしで設立40周年を迎えるソロプチミスト沖縄の宮里晄子会長は「会員一人一人の力を合わせて、女性を応援する活動を続けたい」と語った。