虐待・非行 避難場所を 子どもシェルター設置へ意見交換


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子どもシェルターの開設に向けた意見交換会であいさつする横江崇弁護士(右から3人目)=12日午後、那覇市松尾の沖縄弁護士会館

 虐待を受けた子どもや非行をして戻る場所がない子どもの緊急避難先となる「子どもシェルター」を県内に設置する動きが進められている。12日、那覇市の沖縄弁護士会館に弁護士や児童相談所職員、学識者らが集まり意見交換会を開いた。

今後NPO法人を立ち上げ、早ければ2016年4月の開設を目指す。同様の施設は全国で12カ所が稼働しており、開設されれば県内では初めて。
 児童福祉法は18歳未満の少年を対象にしており、18歳と19歳の少年は児童相談所の保護対象から外れている。中心となって開設準備を進めている沖縄弁護士会こどもの権利特別委員会の横江崇委員長は「児童相談所で対応できない年齢の高い児童や施設を出た後に自宅に帰れない子どもら、シェルターの潜在的な需要はある」と話す。
 県内のシェルターの具体的な計画はこれから決められるが、おおむね14歳から19歳の少年を対象として想定しており、子どもたちの緊急避難先として衣食住を提供する。施設にはスタッフが常駐し子どものケアに当たる。
 親権など保護者との法的な関わりがあるため、子どもにはそれぞれ担当の弁護士が付く。家庭状況によっては弁護士が家裁に親権の停止を申し立てることも想定している。
 県外のシェルターでは平均入居期間は1カ月程度の所が多いが、約7カ月という例もある。
 12日の意見交換会では参加者から「県外のシェルターを出た子どもたちに、良かった点や悪かった点などを聞いて生の声を吸い上げてほしい」などの意見が出た。行政や警察との連携の模索についても意見が出た。
 横江弁護士によると、県外の例では年間約2千万円から約3千万円の運営費が必要となる。運営には国からの委託費が出るが、年間の定員を満たさないと減額される。減額によって活動を休止しているシェルターもあるという。補助を受けても数百万円規模の独自資金が必要となる見込みで、今後は寄付などを呼び掛けていく予定だ。問い合わせは美ら島法律事務所(電話)098(853)3871。