自立センターイルカ、県職員に共生条例研修


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
共生社会条例の研修で、さまざまな障がいを疑似体験する県職員=17日、県庁前

 昨年4月に施行された「県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例(共生社会条例)」の推進に向け、県は17日、県職員向けの研修会を開いた。県職員23人が参加し、自立生活センターイルカのメンバーが指導した。

身体、知的、視聴覚など障がい別の窓口利用や屋外歩行などを疑似体験した。ワークショップなどを通し障がい者と関わる際、窓口職員には「さまざまな気付き」が必要とされることを学んだ。
 障害福祉課の広域相談専門員・上間清香さんによると、昨年4月の条例施行から12月までに各地の差別事例として140件が寄せられた。「対応したつもりが違うことをしていた」「小さな意見を放置して(問題の)傷を大きくした」など、行き違いが誤解を広げる傾向が大きいと振り返る。
 イルカの宮城秀明さん(34)は「一番の根元にあるのは心のバリアー(障壁)だ。社会は健常者をモデルにつくられるが、障がい者自身も社会の一員として生きたいと気付き、力を付けてほしい。お互いに本人の行動一つで変わってくる」と話した。
 体験後のワークショップでは、聴覚障がい者向けの手話通訳や要約筆記人材の育成、口元を大きく開ける話し方などへの気付きが報告された。
 また行政窓口で職員が障がい者に対応する際に「分からない」という戸惑いの態度を取らないよう求められているとの報告があった。それにより障がい者が拒否されたと感じ、窓口を再訪しなくなることも多いという。
 同研修は石垣市ですでに開かれており、今後は宮古島市で開催される。