県内労災、転倒の5割は50代以上女性 沖縄労働局まとめ


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転倒による労働災害

県内事業所での転倒による労働災害は2012~14年の3年間で計668件となり、10年前(02~04年)の1・7倍に増えていることが沖縄労働局のまとめで分かった。約5割は50代以上の女性だ。労働局は増加の背景を「全体として労働力人口の高齢化が進み、サービス業を中心に中高年層の女性就業者が増えているようだ」と分析し、女性の視点で安全に配慮した職場づくりによる労災防止を求めている。

また、加齢に伴う身体機能の変化が転倒や重傷化の危険性を高める可能性も指摘し、生活習慣や体力づくりの重要性も呼び掛けている。
 労働局によると、女性に焦点を当てた労災統計の方法は今回が初めてで、厚生労働省や全国の労働局でも
前例が確認できないという。
 02~04年の転倒による労災は計400件(02年126件、03年140件、04年134件)だったが、直近の3年間は12年、13年が各228件、14年が212件と高止まりしている。
 転倒労災の平均休業日数は42・8日。けがの種類では「骨折」が63%と最多で「捻挫、亜脱臼」が15%で続いた。骨折した体の部分は手首24%、膝11%、足首9%の順だった。
 転倒した場合に骨折する人の割合は年齢が上がるごとに高くなり、50代以上の女性では7割を超える。
 転倒要因は「滑る」が37%と最多で、「物につまずく」19%、「段差などでつまずく」11%、「階段で足を踏み外す」7%。労働局は、ホームページからダウンロードできる転倒リスク簡易診断シートの活用を呼び掛けている。転倒予防対策として、床の水ぬれや油分をこまめに拭き取る、通路の段差や継ぎ目をなくす、暗い通路は照明を確保するなどを挙げている。
 夏井智毅健康安全課長は「特に沖縄はサービス業が主力産業で、女性就業者はその重要な担い手だ。女性の視点に立った対策をすることで、男性も含めて労働力が高齢化していく際の職場づくりにつながる」と指摘している。