泡瀬干潟訴訟 公金差し止め却下、住民が敗訴 那覇地裁


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 国と県が進める中城湾港泡瀬地区公有水面埋め立て事業と埋め立て地を利用した沖縄市の東部海浜開発事業について、周辺住民を含む県民268人が県と市を相手に公金支出の差し止めを求めた第2次泡瀬干潟埋め立て訴訟の判決が24日、那覇地裁(井上直哉裁判長)で言い渡された。

井上裁判長は事業への公金支出は県知事と沖縄市長に認められた裁量権の範囲内と判断し、住民側の請求を全面的に退けた。住民側は控訴する意向を示した。
 住民側は訴訟で、需要予測などが過大に見積もられており事業には経済的な合理性がないと主張していた。環境や防災面の配慮を定めた公有水面埋立法にも違反していると主張した。
 井上裁判長は、埋め立て事業が経済的な合理性を欠いても直ちに地方自治法には違反しないとし、実施目的や必要性、効果などの観点から見て妥当性を欠くとは認められないとした。また需要予測の誤りについては「一定の客観的な資料に基づき算出されている。仮に予測に差異が生じても、それによって著しく妥当性を欠くとは認められない」として退けた。
 環境については「一定の科学的な方法による予測と評価がされている」とした。住民側は防災面で、地盤高や液状化対策などが不十分だと主張していたが、判決では著しく妥当性を欠くとは認められないと判断した。
 2005年に提訴された第1次訴訟では、一審、控訴審ともに経済的合理性を否定し、公金支出差し止めを命じた。

判決後の集会で「不当判決を覆すぞ」と意気込みを新たにする原告の住民や支援者ら=24日午後1時58分、那覇地裁前
第2次泡瀬干潟埋め立て訴訟判決のポイント