企業の人手不足深刻、過半数「業務に支障」 沖縄公庫調査


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 沖縄振興開発金融公庫(譜久山當則理事長)は25日、県内企業の人手不足の影響と人材確保の取り組みに関する調査をまとめた。

正社員が「既に不足している」か「今後不足の懸念がある」企業の合計が54・4%と過半数を占めた。飲食店・宿泊業で不足感が最も強く、正社員、非正規社員ともに90・9%となった。不足感のある企業のうち「業務への支障が出ている」と答えたのは全産業で52・3%で、今後支障が出る可能性のある企業も合わせると92・4%に上った。
 沖縄公庫が人手不足に関して調査するのは初めて。
 人手不足の影響で最も多かったのは「労働時間の長期化」で60・3%だった。さらに建設業の人手不足による工期遅延に伴い「新規出店計画の遅れや事業計画の見直し」を挙げた企業もあった。
 人材確保への取り組みでは「賃上げなど労働条件の改善」の実施が61・9%、「今後実施予定」が21・9%だった。「非正規社員の正社員化」は46・0%が実施したと回答した。
 外国人を正社員として雇用する企業は10・1%、同じく非正規社員で採用するのは11・3%。外国人人材の活用については「専門知識や技術を有する人材なら活用したい」が32・6%、「現場作業員などとして活用したい」が14・7%あったが、「活用は考えていない」が57・7%となった。
 沖縄公庫は「人手不足で需要に応えきれずボトルネック(支障)になっている。観光などでサービスの低下も見られ、夏場のピーク時に先鋭化しないか心配だ。成長の足かせになりかねず、観光イメージの低下にもつながりかねない」と懸念を示した。行政による資格取得支援や人材育成事業の必要性も指摘した。
 調査は昨年11月下旬からことし2月上旬まで実施。定期の景況調査の対象である367社のうち323社(回答率88・0%)の回答を得た。対象には人手不足がいわれている介護や保育士などは含まれていない。調査の概要は沖縄公庫のホームページに掲載している。