琉大医学科生 北部勤務「ぜひ」3% 情報発信、整備に課題


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 【北部】北部地域の医師不足解消に向け、北部広域市町村圏事務組合が琉球大学医学科の5、6年生を対象に実施したアンケートで、将来北部地域の病院に「ぜひ従事したい」と答えたのは2・9%だった。一方、県外勤務医を対象とした同様の調査でも2・3%だった。ただ、給与や居住、子育て環境の整備など「条件が合えば従事したい」と答えたのは琉大医学科生で約7割、県外勤務医で約5割に上り、キャリアアップや環境整備の情報発信などの課題も浮かび上がっている。

 北部広域市町村圏事務組合が事務局を務め、北部の医療や地域の有識者が医院を務める「定住条件整備推進委員会」の10日の最終会合で発表された。北部地域では周産期医療を中心に医師確保が課題となっている。同委員会は医師の人材バンクやキャリアアップ、医療職向け子育て支援事業などをまとめた基本計画を策定しており、今後、実施に向けて関係機関と調整する。昨年11月に実施した琉大医学部医学科5、6年生対象の調査では232人中、139人(有効回収率59・9%)の回答を得た。同学科で同様の調査は初めてという。
 調査結果によると、希望する臨床研修先の病院では、北部の病院は0・7%と低いのに対し、中南部の病院が約4割、県外が約3割、琉大医学部付属病院が約2割だった。研修後の進路希望も北部は0・7%だったが、琉大付属病院は約4割と最も多かった。将来的な北部地域への勤務意向で「条件が合えば従事したい」と答えた69・05%は、条件として「代診できる医師」「病院の施設・整備」「他病院との連携」「勤務環境に対する地域理解」を挙げた。一方、同12月に実施した県外勤務医の調査では、20~39歳の医師787人から回答を得た。北部への勤務意向について「条件が合えば従事したい」が46・9%だった。キャリアアップを基本としながら、給与の良さや居住と子育て環境を重視する回答が多かった。
 同組合は両調査の結果の背景に、北部の医療機関の情報不足もあるとみている。勤務先などを選ぶ手段として、先輩らの口コミや病院ホームページからの情報収集も重視されているため、基本計画実施に当たり、業務や待遇などの具体的な情報発信にも取り組む考えだ。