国頭林道訴訟、「休止」理由に却下 原告「実質勝訴」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 国頭村内の県営、村営林道の開設工事は違法だとして、県内の市民が県知事を相手に公金支出の差し止めなどを求めた住民訴訟(沖縄命の森やんばる訴訟)の判決が18日、那覇地裁(鈴木博裁判長)で言い渡された。鈴木裁判長は事業休止中の林道に対する差し止めについて、環境調査などをせずに休止林道の事業を再開すれば違法性が生じかねないことなどから近い将来の再開を困難視し、住民訴訟の必要条件である公金支出の確実性は認められないと判断し、却下した。しかし原告は「このまま林道開設を進めてはいけないと言っている。実質勝訴だ」として、控訴せずに判決を確定させる方針だ。

 訴訟で実質的に争われた8林道のうち、完成済みの2林道などに支出した公金の賠償請求は棄却した。
 残る6林道の工事は休止している。休止後に県と国頭村が実施した事後環境調査に対して、環境省などが問題点を指摘していた。
 判決では、環境省などの指摘に対して県が相応の調査や検討をしていないとして「現状のままで開設を再開すれば社会的妥当性を著しく損ない裁量権の逸脱、乱用と評価されかねない」と指摘した。
 原告側代理人の市川守弘弁護士は「まともに環境を調査すれば、生物の宝庫のやんばるに林道を造ることは不可能だ。訴えが実質的に認められた」と話した。
 県は「関係機関と調整し、継続と中断の両面から検討する」としている。