平和学習の事例HPに 県平和祈念資料館


社会
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県平和祈念資料館が開設した「シェアリングプロジェクト」のホームページ

 県平和祈念資料館(糸満市、國仲功館長)は小中高校など、教育現場で取り組まれている平和学習の事例を同資料館のホームページ(HP)上に公開、共有する「シェアリングプロジェクト」を始めた。

さまざまな平和教育の事例を知ることで、教諭らに平和学習の授業づくりの参考にしてもらうのが狙いだ。
 4月は英国にある「嘉悦ケンブリッジ教育文化センター」の取り組み事例を紹介しており、5月はオキナワインターナショナルスクール(那覇市)の事例を掲載する予定。3月末までに月1回1校のペースで事例を追加掲載していく計画だ。
 沖縄戦について学ぶ平和学習は、毎年6月23日の「慰霊の日」前後に小中高校で行われている。沖縄戦の写真やビデオ鑑賞、戦争体験者の講話などが中心だ。沖縄戦の教訓を次世代に伝える取り組みとして長年、継続されている一方、「講話ばかりだ」など近年マンネリ化を指摘する声もある。戦後70年を経て現役教諭に戦争体験者がいない中、「どのビデオを見せればよいのか分からない」と平和教育の取っ掛かりで悩む教諭もいる。
 自身も教諭で現在、平和祈念資料館の職員として平和教育に試行錯誤する教諭たちに接してきた古謝将史主査は「シェアリングプロジェクトのページでは、多くの人の授業実践を共有するだけでなく、教員同士もつながれるよう連絡先も掲載した。教員同士のやりとりを通して、新たな平和教育の手法が生まれることも期待している」と話した。
 4、5の両月は英国の教育施設やインターナショナルスクールと、国際的な教育環境下での事例を紹介したことについては「沖縄発の平和発信が世界中に広がっている様子や、バカロレア教育という現代の教育手法の中でも沖縄戦の教訓は合致して取り扱うことができることを知ることができると考えた」と話した。
 平和祈念資料館では、平和学習実践例の情報提供も募っている。シェアリングプロジェクトは同資料館のHPで見ることができる。問い合わせは同資料館(電話)098(997)3844。