沖電、ガス供給開始 第1号は沖縄ライカム


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LNG初出荷のタンクローリー車を見送る沖縄電力の大嶺満社長とりゅうせきの金城克也社長=1日、中城村の吉の浦火力発電所

 沖縄電力(大嶺満社長)は1日、中城村の吉の浦火力発電所を拠点とした液化天然ガス(LNG)の販売事業を開始した。ガス供給の第1号として、米軍泡瀬ゴルフ場跡地に進出したイオンモール沖縄ライカム向けの製品をタンクローリー車で出荷した。本年度中に沖縄ガスへの卸販売の開始も予定しており、事業開始式で大嶺社長は「総合エネルギー事業者として新たな一歩を踏み出した」と語った。

 今後、泡瀬ゴルフ場跡地へ年間2千トンを供給するほか、沖縄ガスへの卸販売では年間2万トンの需要が見込まれている。沖電は2012年に運転開始した吉の浦火力発電所で、LNGを燃料に電力を生産している。14万キロリットルの貯蔵タンクを2基備え、オーストラリア産のLNGを毎年約40万トン調達している。LNGを発電用燃料だけでなく、ホテルや病院など産業・商業用に販売していくことを新たな事業として計画してきた。
 ガス供給の実施に向けて、タンクローリーにLNGを補充する出荷ゲート2基を発電所構内に建設し、LNGを気化させて近隣の工場や沖縄ガスに送る施設や埋設導管を整備してきた。輸送用に積載容量8トンの大型タンクローリー2台を導入した。
 LNG販売はグループ会社のプログレッシブエナジー(高木直久社長)が担い、輸送をりゅうせき(金城克也社長)に委託する。
 北中城村の泡瀬ゴルフ場跡地には、タンクローリーで運んだLNGを貯蔵し各施設にエネルギー供給する「サテライト施設」を建設し、1日から稼働した。イオンモールや来春開業予定の中部徳洲会病院が、空調や自家発電用などの電源としてLNGを使用する。
 LNGは石油に比べ二酸化炭素の排出量が3割少なく、硫黄酸化物の排出がない。世界各地で産出されることから価格の安定性も高く、石油系燃料に代わるクリーンエネルギーとして需要が見込まれている。
 沖電グループは、電気事業に加えてガス供給事業も手掛けることで、「総合エネルギー事業者」を掲げていく。顧客の相談窓口を沖電本体に一本化したワンストップサービスで、エネルギー診断に基づく電気とガスのベストミックスによるコスト低減の提案や、地球環境保護など多様化する要望に応じていく。