災害情報、瞬時に 市中心商店街連、一括交付金でネット構築


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 那覇市中心商店街連合会(上原正敏会長)は4月1日から、同連合会所属の11商店街・通り会にJアラートなど緊急災害情報を一斉放送するネットワークの運用を開始した。市役所から発信された災害情報を市直営のまちぐゎー案内所「ゆっくる」が中継し、各商店街に設置された既存のスピーカーを通して伝達する仕組み。

関係者らは「防災面をしっかりすることで来訪者の安全が守られ、観光振興にもつながる」と取り組みの意義を強調している。
 従来の緊急災害情報は、近接する希望ケ丘公園に設置された防災行政無線から放送されていたが、実際には音声が商店街内に届かない状況にあった。
 そこで同連合会が市議会に対し陳情した結果、2014年度に国の一括交付金約1千万円を活用して受信機やバッテリーなどが整備された。
 同連合会は13年に、自主防災会も組織している。防災会会長を務める第一牧志公設市場の粟国智光組合長は「災害が発生したときに避難誘導できない施設には客は来なくなる。今回の取り組みで、商店街の防災体制強化をハード面とソフト面で推進できた」と語った。
 運用開始から1カ月が経過したが、現段階では緊急災害情報を発信する状況はない。
 同連合会では、通常時はイベントや迷子、落とし物などの情報も来訪者に提供するなど、11商店街・通り会を網羅した一斉伝達の仕組みを活性化に生かしている。
 市民防災室の担当者は「市の総合防災訓練でも活用できる。今後、県内の他の商店街にもこの仕組みが広がれば、有事の際の避難などで役立つだろう」と話し、同連合会の先進的な取り組みを評価した。
 ネットワークに加わっている商店街や通り会は次の通り。(順不同)
 第一牧志公設市場、公設市場衣料部、同雑貨部、平和通り商店街、新栄通り商店街、むつみ橋通り商店街、ガーブ川中央商店街、太平通り商店街、壺屋やちむん通り会、うりずん横町通り会、浮島通り会