全遺骨、DNA鑑定を 住民視点で「平和宣言」


社会
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 沖縄大学地域研究所の土曜教養講座「沖縄戦後70年の住民平和宣言」が20日、那覇市の同大学で開かれた。遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんが「ガマフヤーと平和教育プログラム」と題して講演した。国に対し、歯が残っている戦没者の遺骨が発掘された場合、全てDNA鑑定することなどを求める平和宣言を発表した。

 具志堅さんは遺骨収集の意義を「戦争を否定して初めて、過去を学ぶことが未来に生きる」と強調した。「戦没者は事実の継承と共に子孫を二度と同じ目に遭わせてはならないと訴えていると思う」と語った。
 北村毅大阪大准教授は平和の礎について慰霊、戦争体験の継承、記憶の共有という三つの側面を持つと指摘した。戦後50年を機に取り組まれた刻銘調査を「現在は亡くなった戦争体験者が多く、ぎりぎりのタイミングで取り組まれた重要な作業だった」と強調した。村上有慶沖縄職業能力開発大学校教授も登壇した。
 平和宣言は、集団的自衛権の行使を閣議決定で容認した政府を批判し「この10年を新たな戦争へのカウントダウンにしてはならず、戦後80年を静かに迎えるための『沖縄平和学』を心の砦(とりで)としたい」と強調した。平和を次代につなぐために若い世代を巻き込んだ遺骨収集が重要だと指摘した。安倍晋三首相が発表する「戦後70年談話」が「後退することに警鐘を鳴らしたい」として、来年以降も6月に平和宣言を発表する。

登壇者の話を聞く来場者=20日、沖縄大学
具志堅隆松さん