石垣の陸自配備「地域で議論を」 地元の高校生が討論会


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 【石垣】高校生の視点で石垣島への陸上自衛隊配備問題を考えようと、石垣市の高校生12人が石垣市総合体育館研修室で12日、陸自配備の賛否について意見を言い合う「ディベート(討論)大会」を開いた。12人は賛成と反対の2班に分かれ、賛否の理由や反論を述べるなど真剣に議論を戦わせた。結論は出さなかったが、学生代表の宮良ひかりさん(16)は「この問題は島の人全員に関わる。地域で自然と話し合える雰囲気がつくれたらいい」と話し、地域で議論を深め判断することの重要性を確認した。

 島の平和を高校生が考えるプロジェクトとして5月に数人の生徒が発案して発足した「島ぷろ」の企画で、第1回の議題に陸自配備問題を提起した。生徒らは市民ら331人への街頭アンケートや聞き取り調査などに取り組み、模擬討論を重ね自分たちなりに賛否の理論を組み立ててきた。
 討論で賛成派は「南西諸島は防衛の空白地帯になっている。(中国機への)スクランブル(緊急発進)も増えている」と説明し、抑止力として配備の必要性を主張した。反対派は「(中国の脅威に)過剰に反応し過ぎてはいないか」と反論し「戦争が起きれば標的になる」などと問題点を指摘した。
 観光などで交流が深まる中で「中国が攻める利点はあるのか」と疑問視する反対派の指摘に、賛成派は尖閣周辺の資源を目的に「攻撃してくる可能性がないとは言い切れない」と訴えた。
 賛成派の役を務め、配備の利点を考えた名嘉正敏さん(16)は「深く理解しないと賛成か反対か決められない。判断は難しい。ただ関心を持つことが大事だと分かった」と指摘した。
 宮良さんは「この問題について賛成、反対がそれぞれ耳をふさいで、違う場所で言い合っているように思う。高校生から議論の重要性を発信することで地域で考えることができたらいい」と意気込みを語った。
 多くの市民が駆け付け、市議らが参加した「大人ディベート」もあった。