年金減額は「違憲」 県内受給者31人、国提訴


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 県内の公的年金受給者らでつくる全日本年金者組合県本部の組合員31人は24日、国に対し年金減額決定処分の取り消しを求めて那覇地裁に提訴した。同日に県庁で会見した原告らは、年金の相次ぐ引き下げは「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する憲法25条などに反すると主張した。

 同様の「年金引き下げ違憲訴訟」はすでに27都道府県(原告数3180人)で提訴されている。24日は鹿児島県でも提訴された。
 県内の原告は62~84歳の年金受給者。全ての原告が2013年12月4日付で厚生労働大臣が決定した減額処分の審査請求を行ったが却下され、その後の再審査請求に対する裁決が1年以上ないため提訴した。
 訴状は、デフレが続いた10年間で物価変動が支給額に反映される「物価スライド」により年金支給額の減額が続く中、国民健康保険料の負担増があったなどとして「憲法が保障する人間らしい老後の生活の水準の確保に真っ向から反する」などとした。憲法13条(幸福追求権)と29条(財産権)にも反すると主張した。
 原告団長で年金者組合県本部の吉田務委員長(68)は「無年金、低年金により親戚近所付き合いができないといった窮状を訴える声は大きい。年金制度の適用が遅れた上に所得が低い沖縄は特に悲惨な状況だ」と訴えた。