再生医療技術を移転 食道がん臨床研究へ国内初


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 豊見城中央病院と東京女子医科大学が31日、県庁で記者会見し、「再生医療における友好連携協定」を締結したと発表した。東京女子医大が開発した、手術後の患部に細胞を増やしてシート状にしたものを貼り付けて治療する「細胞シート工学」再生医療の技術を豊見城中央病院に移転する。2016年度、早期食道がん手術後の細胞シート移植について臨床研究を始める。

 18年度から一般向けに同治療を普及する計画で、他の症例への応用や医療ツーリズム誘致を想定した国家戦略特区の指定も目指す。両者によると、食道再生臨床研究に関する培養技術移転は国内初で、世界でも2例目となる。
 食道がん治療の「細胞シート工学」は、患者の口腔細胞を取り出し特殊な培養皿で増やす。独自の培養技術で細胞を傷つけずシート状のまま、がんを切除した患部に貼り付け、縫わずに治すこともできる。手術後の狭窄(きょうさく)症を防ぐことができ、患者の苦痛や経済的負担を軽減できるという。
 17年度以降、膝関節の軟骨や耳の粘膜など、ほかの場所への応用を目指す。協定締結は6月23日付で期間は5年間。豊見城中央病院を同治療に関するアジアの中核拠点と位置付け、技術指導と人材育成による臨床普及体制の構築などを目指す。