菅氏、工事再開を明言 第4回協議 知事、取り消し示唆


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集中協議の第4回会合に臨む翁長雄志知事(左)と菅義偉官房長官=29日午後4時半すぎ、那覇市のロワジールホテル那覇

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐる県と政府の集中協議の第4回会合が29日、那覇市内のホテルで開かれた。協議に先立って菅義偉官房長官と意見交換した自民県連の具志孝助幹事長によると、菅官房長官は県連役員らに「工事は予定通り(集中協議の)1カ月が終わったら再開する」と述べた。

 協議最終回の第5回を前にした4回目の会合でも、双方の主張は大きく隔たったままだ。翁長雄志知事は協議終了後、「協議が延期されなければそこからの対応になる。ありとあらゆる手段を使って辺野古に基地は造らせないということはしっかり持っている」と述べ、期間終了後、辺野古埋め立ての知事承認を取り消すことを示唆した。
 普天間飛行場移設問題の原点について、サンフランシスコ講和条約で沖縄が日本から切り離されたことや米軍による土地の強制接収などによる「(県民の)魂の飢餓感が原点だ」とする翁長知事に対し、菅氏は「19年前の橋本・モンデール会談が原点だ」と説明した。
 普天間飛行場の5年以内の運用停止について、辺野古移設との関連を尋ねた翁長知事に対し、菅氏は「お互い考え方が違う」などと述べるにとどめ、5年以内運用停止は辺野古移設が前提であることを否定はしなかったという。
 米軍北部訓練場の早期返還について、菅氏は返還の条件とされる高江ヘリパッド建設に根強い反対の声があることを挙げ、県に協力を求めた。翁長知事は要請を受けたとの形にとどめ、「今、応えるわけにはいかない」と返答した。
 翁長知事は協議後、記者団に「いずれにしろ厳しい状況だというのははっきりしている。話し合いは今後もシビアになる」と述べた。菅氏は「危険性除去の方法について著しく距離がある」と述べた。