これがキースの心の音
アルバム・リリースに先行して発表された『トラブル』を聴いて驚いたのはそのヴィヴィッドなサウンド。1992年のセカンド・ソロ『メイン・オフェンダー』から23年という歳月を全く感じさせないどころか、むしろ若々しいロックのスピリッツが溢れていたからです。
71歳と言うと、つい巧みとか老練と言ったイメージで作品が語られそうですが、ロックをプレーするということは自分の心をストレートに音に反映させること、つまりプレーヤーの心が若ければ肉体的な年齢は関係ないのです。
時間の制約なく自分のための音楽を作りたいと、ワディ・ワクテル、スティーヴ・ジョーダンら、前2作のソロ・アルバムで組んだ“エクスペンシヴ・ワイノーズ”の仲間たちとキースは心の音を具現化しました。ロックだけでなく様々なジャンルのスタイルを表現方法として使い、聴くものの心も癒やしてくれます。ここにあるのは至福の音、これが本当の“巧みの技”なのかもしれません。
(ユニバーサル・ミュージック・2500円+税)=北澤孝
(共同通信)
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北澤孝のプロフィル
きたざわ・たかし 1947年、東京生まれ。小学生のころからダイナ・ショアなど洋楽を好み、大学時代はニューオリンズ・ジャズ・クラブに所属し、トラッド・ジャズを研究。その後レコード会社、音楽出版会社に勤務。携わったアーティストは、ポール・モーリアからボン・ジョヴィ、ブリトニー・スピアーズ、MONKEY MAJIK、Superflyまで多岐にわたる。
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