踊って乳がん予防 患者団体、カチャーシー基に考案


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平田大一さんの指導を受けながらワークショップで踊りを踊るメンバーたち=8月2日、浦添市立中央公民館

 沖縄のカチャーシーを、乳がん手術などで起きるリンパ浮腫の予防や、リハビリを兼ねた踊りにアレンジし、患者に役立ててもらおうとの取り組みを乳がん患者の会「ぴんく・ぱんさぁ」(与儀淑恵代表)が進めている。乳がん認定看護師らが監修し、演出家の平田大一さんが振り付けた。踊りは来年3月までにDVDに収め、離島の患者会メンバーや希望者に配る予定だ。

 リンパ浮腫は、手術による腋(わき)のリンパ節の切除や放射線療法が原因で、リンパ液が皮下にたまって腕が腫れた状態になること。手術から10年以上たって発症することもあり、指のしびれやこわばり感といった症状以外に、左右の腕の太さが極端に異なるなど見た目の変化にも苦しめられる。
 踊りは、リンパ浮腫を経験した与儀さんが企画した。多くの舞台の演出を手掛ける平田さんと、乳がん看護認定看護師の砂川克子さんに協力を依頼して、8月初旬、DVD化に向けた取り組みが始まった。
 平田さんが作曲したエイサー曲「ダイナミック琉球」に合わせて踊り、振りは砂川さんの助言を基に(1)姿勢を正す(2)声を出す(3)身体を動かす-の3点を取り入れた。リンパの流れをよくするために、出だしで左右の腕を大きく振り上げて肩の可動域を広げ、おなかを意識しながら長く息を吐くなど呼吸法も意識した。
 踊ったメンバーは「楽しい」「踊るうち、手が上がるようになった」と反応も上々だ。与儀さんは「沖縄の歌や踊りには人を元気にする力があると思う。乳がんで悩んでいる人に元気になってもらいたい」と話す。砂川さんは「病気を乗り越えた人が、次に治療する人をサポートしようと思うことが素晴らしい」と感心する。
 平田さんは「沖縄の踊りが、患者の命の薬になるいい取り組みだ。しっかりと指導したい」と意気込む。DVDを患者に配った後は、来年5月の患者と家族を対象にした勉強会「With you」での披露を目指し、練習を重ねる。