防衛装備開発、県内大学は応募ゼロ 「軍事研究せず」は9校


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 小型無人機やサイバー攻撃対策など軍事技術への応用が可能な基礎研究に研究費を支給(年間最大3千万円)する防衛省の初の公募に関し、琉球新報社は23日までに、大学など県内の高等教育機関11校にアンケートした。

回答した10校全てが同制度を利用しない考えを示した。さらに9校が今後、安全保障や軍事研究の協力要請があった際についても、「軍事に関する研究をするつもりは一切ない」などの理由で協力しない考えを示した。
 琉大は「個別に検討する」とした。沖縄工業高等専門学校は「制度を利用する考えはない」とした上で、アンケートに回答しなかった。
 公募は防衛省の「安全保障技術研究推進制度」に基づくもの。本年度は28件のテーマの研究機関を対象に7月8日から8月12日まで公募。県内では今回の対象テーマを研究している高等教育機関はなく、応募はなかった。ただ、防衛省によると年度ごとに対象となる研究テーマは変わる方向で今後、県内の機関が行っている研究も対象になる可能性は否定できない。
 アンケートに応じたのは琉球大学、県立看護大学、県立芸術大学、名桜大学、沖縄国際大学、沖縄大学、沖縄キリスト教学院大学、同短期大学、沖縄女子短期大学、沖縄科学技術大学院大学(OIST)。
 制度への応募を考えているかについて、回答した全10校が「いいえ」を選択。今後、安全保障や軍事を目的とした制度や協力要請があった場合、協力する可能性があるかについては、9校が「いいえ」と回答した。琉球大学は「その他」を選択。「本学の教育研究は学問の自由は踏まえつつも、人類の福祉と平和に寄与するために行われるべきであり、それらを妨げる目的で行わない」とし「個別に検討し対応」とした。
 回答理由を書く欄でOISTは「軍事および安全保障技術に関する研究を行うつもりは一切ない」とした。沖縄国際大学は「教育機関である大学が軍事研究に協力するべきではない」とした。沖縄キリスト教学院大学、同短期大学は1967年に日本学術会議が出した「戦争を目的とする科学研究は絶対に行わない」との声明を支持し、「諸外国と平和的友好関係を教育・研究を通して推進するべきだ」と主張した。
 (安富智希)
英文へ→Okinawa’s higher education institutions do not apply for MOD national security research funds