非婚ひとり親世帯も寡婦控除 公営住宅、来年10月から


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 国土交通省は、公営住宅の入居の際に優遇措置が受けられる対象世帯に、現在、対象外となっている婚姻歴のないひとり親世帯を、2016年10月以降の入居分から追加する。入居の可否や家賃を決める収入算定に、死別や離婚のひとり親世帯と同じように寡婦控除を適用することで入居しやすくする。

県内は母子世帯に占める非婚ひとり親世帯の割合が12・2%と全国平均より4・4ポイント高く、全国一。非婚であることから寡婦控除を受けられず、税制上の不利益を被っている現状がある。関係者は、国交省の決定を歓迎しながらも、根本的な不利益解消には所得税法上の「寡婦(夫)」の定義変更が必要と訴えている。
 国交省は公営住宅法施行令を改正し、2016年10月以降の入居から、非婚ひとり親世帯にも寡婦控除をみなし適用する方向で、入居済み世帯は17年度から家賃の引き下げなどを行う。
 非婚ひとり親世帯の寡婦控除をめぐっては、県内9市町村と沖縄県の公営住宅で既にみなし適用されているが、今回の施行令改正で、公営住宅のあるほかの県内28市町村を含む全国一律でみなし適用されることになる。
 寡婦控除とは経済的に苦しいひとり親世帯を救済することを目的に、所得税を納めるときに適用される優遇措置。
 公営住宅へ入居を希望するひとり親世帯は、配偶者と死別、離婚した世帯の場合、寡婦控除が適用され、実際の収入より27~35万円少なく見積もった上で、入居の可否や家賃が決められている。一方、所得税法の「寡婦」には非婚が含まれていないため、非婚ひとり親世帯に寡婦控除は原則、適用されていない。
 根本的な不利益解消には、所得税法の定義変更の必要性を指摘する声が当事者から上がっている。県議会と県内21市町村議会は、所得税法の「寡婦」の定義に婚姻歴のないひとり親を含めるよう、所得税法の寡婦控除規定の改正を求める意見書を可決している。(玉城江梨子)