【石垣】八重山の古い家並みを再現した石垣市名蔵の観光施設「石垣やいま村」に、遠方を見渡すための遠見台「アンパル塔」が建設された。施設側は琉球王朝時代に異国船の監視などのために整備された遠見台文化を表現しようと企画し、木造の台を取り壊し一新した。落成式が16日、施設内で開かれ、関係者が完成を祝った。
やいま村によると、遠見台は南蛮船などを監視したり、琉球の進貢船などを管理したりするために設けられた。当時は与那国島や竹富町西表島、波照間島などに整備され、のろしを上げて情報を伝達していた。
今回整備したアンパル塔は八重山で多かったというらせん状の構造を採用し、外壁は石灰岩を積み上げて造った。高さは約5メートルで、上からは名蔵湾が一望でき、西表島が遠方に見える。
以前は木造で遠見台を再現していたが、この設備が老朽化したため整備し直した。
やいま村の兼島英樹社長は「設計図はなかったが、何とか昔の良さを残そうと造り上げた。眺めがよく八重山の自然が一望できる。施設内には古き良き家屋が見渡せ、ここから歴史も感じられる。今後、有形文化財に登録されることを期待したい」と話した。