【交差点】タイの正月は憂うつ


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 先月のタイは猛暑が続き、連日35度を超えた。その時期にタイはバラモン陰暦で新年を迎え、ソンクランと呼ばれるタイ正月を祝う。ソンクランは、別名「水掛け祭り」と呼ばれ、十分な雨の恵みが受けられるよう願いを込めて水を掛け合うことから始まったとされている。その水掛け祭りが、私を最も憂うつにさせ、1年間で最も嫌いな行事なのである。
 今年のソンクランは、4月13日から3日間。その間はどこそこ構わず、水を掛け合う。私の近所では、至る所で音楽が鳴り響き、タイ人みんなでバケツや水鉄砲を持って、歩行者だけでなく、バス、タクシー、バイクにまで水を掛ける。水の掛け方は半端じゃなく、大きなポリバケツにたっぷりと水を用意し、複数の人が一気に勢いよく水を掛けるのである。昨年、道を歩いている途中にバケツごと、どっぷりと水を掛けられた嫌な思い出がある。その教訓から、今年は家に閉じこもることを決めた。
 ソンクランの間、おとなしく家にいるのもつらかったが、その祭りは事故や負傷者が多く出るので危険が伴う。先日新聞で発表されたタイ正月の死亡者は522人、負傷者1万6395人。祭りを盛大に祝うのは結構だが、この数字を見ると、どうしても祭りを祝う気になれない。
(上原洋子・バンコク在住主婦)