【交差点】幸せなら手をたたこう


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 先日、インドを訪問した小泉純一郎首相がデリー市内の私立中学校の日本語授業を参観した際、生徒たちから「幸せなら手をたたこう」の合唱を披露され、大喜びしたという記事を読んだ。読みながら、ベトナムの大学で日本語を教えていたころの記憶がよみがえってきた。
 海外の日本語の授業に日本の歌を取り入れているところは多いと思うが、中でも「幸せなら手をたたこう」は人気があるらしい。ベトナムの生徒たちもこの歌が大好きで、私も大学で教えたし、ホーチミン日本語スピーチコンテストでも会場のすべての参加者による大合唱を聴いて感激したことを思い出した。
 歌の親しみやすさに加えて手をたたいたり、足踏みしたりなどアクションを通してのコミュニケーションが受けていると思えるが、やはり国の発展を肌で感じ、日々、幸せを実感していることが背景にあると思う。発展途上国の若者は目が輝いているとよく言われるのも、どんどん良くなる未来への期待が大きいからだと思う。
 日本では目標を失い、ぜいたくが当たり前になり、幸せを実感できない若者であふれているのではないだろうか。当然と感じるようなことでも本当は幸せなことなんだと発見し「幸せなら態度で示そうよ」と、この歌のように行動できれば理想的なのだが。
 (遠山光一郎・シンガポール現地法人企業社長)