【交差点】大連へどうぞ


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 学園都市である大連のいくつかの大学には、漢学院(中国語学科)があり、各国からの留学生を受け入れている。これらの大学には若者とともに、年配の人が中国語の初歩から、あるいはレベルアップを目指して入学してくる。彼らはほとんどが日本人である。高齢者の受け入れは多くの大学が上限を55歳としており、予想される事故が発生してイメージダウンにつながるのを敬遠している。
 大連交通大学は、中国内の中でも高齢者留学生を積極的に受け入れている数少ない大学である。現在65歳以上の日本からの留学生が13人在籍しており、80歳の男性もいる。さらにこの大学は、学外にハイグレードの大規模な施設を造って日本のマスコミに売り込み、経済的に余裕のある高齢者留学生の獲得を目指している。
 中国語学習希望者にとっては留学することで長期滞在ビザの取得が可能となり、学習しながら生活環境の整った大連の生活をエンジョイすることができる。大学側は日本の高齢者を受け入れることで、彼らのより細かなニーズを知り、独自の受け入れ態勢を整える第一段階のようにみえる。
 悠久の歴史や雄大な景観を持たない東北の一地方都市・大連は、ショッピングの街やファッションの街としてアピールし、観光客誘致で成功を収めたが、周辺の都市が大連を見習うように斬新な観光商品を売り出して追従してきた。
 中国は高齢化社会への突入を控えており、交通大学の高齢者受け入れの試みは、将来的には海外からの留学生のみならず、国内の裕福層をターゲットにした移民がある。大連は今、より価値の高い商品を開発して生き残りを模索している。
 (池宮城克子 大連外国語学院講師・ウチナー民間大使)