【チャイナ網路】静かな革命


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 先月16日に行われた国民党主席の直接選挙で、馬英九・台北市長(55)が当選を果たした。5割に達した投票率も予想外だったが、何より関係者を驚かせたのは、台北市から離島まで、全選挙区で馬氏が圧勝するという票の動きだった。
 確かに、馬氏は1999年の台北市長選で、陳水扁氏を下して以来の負け知らず。長身で端正なルックスとクリーンなイメージが売りの政界のアイドル的存在ではある。が、今回の選挙戦では苦戦している。
 相手候補の王金平・立法院長は、議員生活30年の大ベテラン。連戦主席以下党幹部から軍部、党職員まで、支持を集めた実力派だ。馬氏の“人気”も党上層部では無力。選挙賭博の予想さえ、馬氏の勝利は「五分五分」と懐疑的だった。
 勝利をもたらしたのは、むしろ“国民党的”な人脈を持たない馬氏の革新的なイメージだ。当選は、一般党員が党中央部に対し、票で改革を迫ったものだと読むこともできる。「静かな革命」とも評される由縁だ。改革は実現するか否か? その成否が、氏に託されるであろう政権奪回を左右するともみられている。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)