四川省成都市から飛行機で北へ約40分、海抜高度3500メートルの九寨黄竜(キュウサイコウリュウ)飛行場。成都市での商用を終えた私は、1992年世界遺産に登録された秘境・黄龍、九寨溝(キュウサイコウ)を一目見ようと、この空港へ降り立った。
澄んだ空気と若干の肌寒さがほおをかすめる。2泊3日の強行スケジュールのため早速タクシーをチャーターし、峡谷の底でエメラルドに輝く湖沼群、黄龍へと向かった。濃い霧の中、注意深く辺りを見回すと一つの石碑があり、そこには「高度4700メートル」の文字。濃い霧ではなく、雲の中を走行中とのことだった。雲を切り抜けしばらくすると、ようやく黄龍に到着。ここからは徒歩で神秘的な風景と美しい湖沼群を堪能した。
後日訪れたもう一つの秘境、九寨溝もまさにこの世の絶景と言っても過言ではなく、エメラルド色に光る湖面は、鏡のように周りの山々や木々を映し出し、美しく澄んだ湖水では、水草に差し込んだ陽光が5色に輝き、壮大な自然の美を醸し出していた。
強行スケジュールに空気の薄さも加わり、高山病特有の息切れや頭痛、吐き気など少々のハプニングはあったものの、この秘境「黄龍・九寨溝」を訪れ自然の織りなす神秘に触れることで、都会ではなかなか感じることができない心の平静を一身に感じ取った。
時間に追われ、忙しい現代社会。たまには自然の中で癒やされてみるのも、乙なものではないだろうか。
(吉元耕己・中国沖縄民間大使)
【交差点】秘境「黄龍・九寨溝」
この記事を書いた人
琉球新報社
![Avatar photo](https://ryukyushimpo.jp/uploads/2023/09/cropped-ryuchan_maru-1-21x21.webp)