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ロケ地にもなった築120年の木造平屋、取り壊しへ 赤瓦葺き「はなさん屋ー」 旧盆、正月…親族の中心に 沖縄・今帰仁村


ロケ地にもなった築120年の木造平屋、取り壊しへ 赤瓦葺き「はなさん屋ー」 旧盆、正月…親族の中心に 沖縄・今帰仁村 取り壊しが決まった「はなさん屋ー」=9月20日、今帰仁村仲尾次
この記事を書いた人 Avatar photo 砂川 博範

 1903年に建てられ、今帰仁村内でも最も古い部類に入る住宅として地域住民から親しまれた民家「はなさん屋ー」(村仲尾次)がこのほど、取り壊されることが決まった。明治から令和まで120年もの間、建物の骨組みはそのままの状態で残っており、つい最近まで家主である喜屋武元子さん(68)が住んでいた。元子さんは「家族みんなの思い入れがある場所だ」と名残を惜しんだ。
 「はなさん屋ー」は先祖の名前に由来する屋号。戦火も免れた赤瓦葺(ぶ)きの木造平屋で、くさびと木を組み合わせた沖縄伝統の貫木屋(ぬちじゃー)構造で建てられた。

「はなさん屋ー」のお別れ会を開催した喜屋武元子さんの親族ら=8月(提供)


 映像のロケ地としても何度か使用され、当時中学生の仲村颯悟さんが監督を務めた「やぎの冒険」や、終戦記念特別ドラマ「ひめゆり隊と同じ戦火を生きた少女の記録 最後のナイチンゲール」でも使われた。
 100歳まで生きた元子さんの母の花子さんが家族の中心で、父の栄長さんと共に5男5女を育てた。正月や旧盆で集まる際には約70人がそろったという。
 年々建物の修復が困難となったため、取り壊しを決めた。8月には親族約40人が一堂に会し、お別れ会も開かれた。敷地内には元子さんの長男が新たな住居を構える予定。元子さんは「取り壊しはさみしいが、子どもが後を継いで『はなさん屋ー』は続いていく。それがうれしい」と笑顔を見せた。(砂川博範)