陸上時代の“情熱”を「音楽」へ 社会で自身を見つめなおし、バンド結成 村まつりで念願の初ライブ 沖縄、宜野座


陸上時代の“情熱”を「音楽」へ 社会で自身を見つめなおし、バンド結成 村まつりで念願の初ライブ 沖縄、宜野座 宜野座村まつりで初ライブを披露した「Club Win」。リーダーの宜野座康右さん(左端)がギターを務める=10月28日、宜野座村農村公園
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 【宜野座】陸上競技で学生時代に活躍したトップアスリートが今、その熱量を持って音楽という新たなフィールドで全力疾走を開始した。宜野座村の宜野座康右(こうすけ)さん(漢那区)が自身のバンド「Club Win」を結成し、10月28日の宜野座村まつりで、念願の初ライブを開催した。ギターとキーボードを演奏し、宜野座さんが創作した楽曲も披露された。

 宜野座さんは長崎国体への出場や県高校総体400メートルハードル2連覇、大学時代にも中四国大会で優勝という輝かしい功績を持つ。

 父親の康秀さんも国体で入賞する選手で、康右さんへの期待も高かったこともあり陸上競技に集中してきた。康右さんは大学時代に本格的に音楽を始め、楽曲制作に取り組んだ。大学卒業後、本土で就職。次第に音楽から離れていたころ、精神的に沈み、生活もままならなくなる。葛藤の時期に自問自答し、自身の内面を徹底的に見つめ、自分が一番やりたいことは音楽だと確信。帰沖し、音楽仲間を集めた。

 吉田百恵さんは、宜野座さんと奇遇にも生年月日が一緒。ベースの瑞慶山秀斗さんと出会い、宮古島在住のボーカルの友利響平さんは中学からの陸上仲間で大学も一緒、高跳びのアンダー20のアジアジュニアチャンピオンで、現沖縄県記録保持者だ。「メンバーは皆、演奏技術も人間性も尊敬し合える」とたたえる。

(左から)宜野座康右さん、吉田百恵さん、友利響平さん、瑞慶山秀斗さんら「Club Win」のメンバー

 康右さんは「自分の理想、頭の中で鳴る音楽に近付ける努力をしている」と、宜野座村内のピアノ教室で一からピアノを習う。「民謡とロック、クラシックまで融合した音楽がしたい。そのためにも「Club Win」で実力をつけたい」と、仕事から帰宅後は翌朝まで音楽漬けの日々だ。陸上競技で培った精神力で新たな高みを目指していく。
 (池辺賢児通信員)