有料

「島人の目」と「沖縄人の目」/仲宗根雅則


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 コラム「島人の目」は2004年に始まった。他の媒体で日伊を比較するエッセーの連載を終えた僕は、似たようなコンセプトで本紙にも何か書かせてほしいと役員室の山城興勝さんや三木健さんらに話した。 
 やってみろ、ということになり担当の宜保靖さんがタイトルは「沖縄人(ウチナーンチュ)の目」としたい、と言った。僕は「島人(シマンチュ)の目」でお願いしたいと返した。
 「沖縄人の目」の「沖縄」とは限定された特殊なコンセプトだが、沖縄という枕ことばを外したただの「島」とは、限定されながら豊かな広がりも持つ概念だ。
 つまり「島」とは、例えば僕の故郷の、極小辺ぴの多良間島であり、宮古島や石垣島であり、はたまた沖縄島や少し大きな九州島でもある。それは一段と大きな日本という島になり、ついには大陸と称される世界の島々に至る。全ての島は寄り添って地球という島になる。地球島は太陽系という海に浮かぶ島であり…と果てしもなく広がって行く。要するに小さな島は宇宙的な広がりも持つ世界なのだ。だから大きく構えましょう、という意味で僕は「島人の目」という題にこだわった。
 OKが出ると、本紙のプロの仕事師の皆さんは、僕の提案を世界中の島人をつないで執筆させるという構造に発展させ、各地の情報とそこに生きる島人の「多様」な考えや生きざまなどを紹介するコーナーへと作り変えた。さすがである。
 移民輩出県の沖縄は多様性と独自性を何よりも重視するべきだ。「島人の目」はいったん終わるが、沖縄のオピニオンリーダーである本紙には同様な情報交換の場を持ち続けてほしい。
 2004年の僕の最初の記事以降、20年間コラムを読み続けてくださった方もあるいはいらっしゃると思う。その方々をはじめとする読者の皆さんに厚くお礼を申し上げたい。
(イタリア在、TVディレクター)