小学生でも読める、楽しめる! 琉球・沖縄史入門書を発刊 元嘉手納町教育長・伊波さん 沖縄


小学生でも読める、楽しめる! 琉球・沖縄史入門書を発刊 元嘉手納町教育長・伊波さん 沖縄
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【嘉手納】児童生徒の手引き書、案内書に-。社会科教職の体験を基に、元小・中学の校長で嘉手納町教育長を務めた伊波勝雄さん(85)がこのほど、「はじめての人のための琉球・沖縄史」を発刊した。難しい用語は避けてルビを振り、小学生でも独自の歴史、文化を易しく読めて理解できるよう工夫をしている。

 同書はA5判で約300ページ。琉球・沖縄史を重層的に概観し、「平和と文化のかおる沖縄県」への強いメッセージの思いを込めている。

 伊波さんは「小中高校時代は日本の歴史が中心で琉球、沖縄史は教えられなかった」と振り返る。そのもどかしさから、琉球・沖縄史の研究に没頭した。琉球王国時代、薩摩支配の時代、戦後の米軍統治下など「他府県とは違う歴史がある」と強調する。

 「はじめての―」は、「先史時代の琉球列島」「古琉球の時代」「近世の琉球」「近代の沖縄」「現代の沖縄」の章立てで、その間を政治、経済社会、文化、教育、伝統、行事、世相など70項目余の多彩な分野で独自の知見も盛り込みながら詳述している。

 伊波さんは、自然に恵まれ、温かく、住み良い島しょ県である沖縄が「歴史的にはいまだに平安とはいえない社会が続いている」と指摘しつつ、「県民はそれをはね返す強い底力を持ち、世界に誇れる豊かなチャンプルー文化を生み出してきた」とし、将来世代に希望と期待を込める。

 何よりも「世界の人々と交わり、友好を深め、助け合う国際化の第一歩は自分の足元を知ることから始まる」とし、特に若い世代に沖縄の歴史と文化を学ぶ重要性を呼びかけている。

 同書は本体1990円+税。通販サイト、アマゾンで電子書籍も購入できる。問い合わせは電話090(1949)4557(伊波)。

 (岸本健通信員)