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サンゴ研究最前線紹介 OIST教授ら


サンゴ研究最前線紹介 OIST教授ら サンゴの生息状況を確認する新たな手法が提示された「OISTサンゴ研究の最前線」の記者説明会=2月28日、恩納村の沖縄科学技術大学院(OIST)
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 【恩納】恩納村の沖縄科学技術大学院(OIST)でこのほど、「OISTサンゴ研究の最前線」の記者説明会があった。OISTでマリンゲノミックスユニット(MGU)を率いる佐藤矩行教授らが、NTTドコモ社と共同研究開発した水中ドローン技術を用いたサンゴの生息状況の調査内容を発表した=写真。サンゴが海中に排出する粘液(環境DNA)を利用し、特定の生息地にいるサンゴの属を特定し、生物多様性評価の強力な手がかりにする。この研究は学術誌「Royal Society Open Science」(2月4日付)に掲載された。
 OISTのホームページのリリースによると、これまでスキューバーダイビングやシュノーケリングによって、サンゴ礁を形成するサンゴ(無脊椎動物)を観察し研究してきたが、これらの方法には限界があったという。サンゴは移動しないため、生息場所を特定しやすい。サンゴは常に粘液を分泌しているため、環境DNAは豊富に採取できる。
 記者説明ではこのほか、海洋気候変動ユニットのティモシー・ラバン教授がサンゴと魚類群集の同時・経時的観察研究で、サンゴ礁は複数の動植物で構成されており、魚もサンゴも互いに不可欠な存在であるとの見解を示した。 (小山猛三郎通信員)