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宮森小ジェット機墜落事故「自分事に」 石川630会、伊江中で授業 沖縄


宮森小ジェット機墜落事故「自分事に」 石川630会、伊江中で授業 沖縄 伊波洋正さんを招き実施した慰霊の日特設授業=20日、伊江中学校体育館
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 伊江中学校(伊波寿光校長)は20日、同校体育館で、宮森小ジェット機墜落事故を語り継ぐ「石川・宮森630会」事務局長の伊波洋正さんを招き、慰霊の日特設授業を実施した。

 1959年6月30日にジェット機が石川市(現うるま市石川)の宮森小学校に墜落し児童ら18人が犠牲になった事故。事故の様子や、事故原因、考えてほしいことなどを説明した。

 伊波さんは事故発生時、宮森小学校の1年生だったという。当時の状況について伊波さんは「米軍機が墜落した校舎とは別棟の校舎にいたので事故には遭わなかった。しかし、避難している最中に、事故に巻き込まれ全身、大やけどで皮膚の色が変わった生徒が運ばれていた光景を今でも思い出す」と振り返った。

講師を務めた伊波洋正さん

 米軍の報告を踏まえ「事故の原因はジェット機の整備不良」と話し、「今の沖縄は65年前とほとんど変わっていない。戦争は終わったのに基地はある」と指摘した。今も事故を語り続ける理由について「また、同じ事件が起きるのではと考えた時、65年前の私たちが味わった地獄を今の子どもたちに味わわせたくないから」と思いを語った。

 最後に、生徒たちに向けて「具体的に知ることで心に変化が起こる。自分事として自分や家族が犠牲になったらと想像してみることが大事。伊江島でもLCT爆発事故が起きている。忘れないように語り継いでほしい。地元の歴史を学び共に成長していこう」と呼びかけた。

 生徒を代表し金城旭星さんは「ジェット機の点検をしっかりしていたら、今も生き続けていた人がいたと思う」と感想を述べた。振り返りシートには「自分や友達、家族がこんなことになったらどう行動していいのかなどいろいろ考えさせられることがあった」「詳しい話が聞けて良かった。周りの人に伝えて後世に受け継いでいきたい。つらい体験を、涙をこらえて伝えてくださってありがとうございました」と自分事として捉えた感想が記されていた。 

(知念光江通信員)