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3世一家33人で里帰り ハワイのカネシロさん ルーツ確認、親族会も


3世一家33人で里帰り ハワイのカネシロさん ルーツ確認、親族会も カチャーシーを踊るカネシロ家と金城家=6月25日、沖縄市与儀のオキナワグランメールリゾート
この記事を書いた人 Avatar photo 玉城 文

 【中部】ハワイの県系3世ジョージ・カネシロさん(83)が6月20日から29日まで、親族を引き連れてルーツである沖縄を訪れた。3世から孫世代の5世まで総勢33人で来た理由は、亡き母の願いと「家族の絆を再確認し、子や孫に自身のルーツを考える機会にしてほしい」と考えたため。6月25日には父方の親戚である金城家との親族会が沖縄市のオキナワグランメールリゾートで開かれた。コロナ禍での会えない時期を経て、海を渡ったカネシロ家と金城家が膝を突き合わせ、カチャーシーで一つになった。

ジョージ・カネシロさん(提供)

 ジョージさんは、うるま市平良川の金城ケイリツさん(屋号・前ヌ ウキジ小)の長男セイコウさんの長男に当たる。ケイリツさんは沖縄に戻ったが、セイコウさんは姉たちと再びハワイへ赴き、根を張った。

 ジョージさんらは妹のサンドラ・ミエコ・カネシロさん(74)らと何度も沖縄を訪れているが、親族総勢33人での滞在は初めて。きっかけとなったのは、昨年100歳で亡くなった母ハツコさんの最期の一言だった。「私たちのルーツは沖縄。一族の長として、皆で沖縄を訪れてほしい」。その言葉に従い、今回の滞在が実現した。

 沖縄では父母の親戚が眠る墓などを訪れた。母方の祖母キシャバ・カメさんら3人の名が刻まれる糸満市摩文仁の平和の礎では、その名を心に留めるため、紙を敷き鉛筆でなぞったという。

 沖縄のしきたりも忠実に守っている。ムートゥヤー(本家)ということで、祖母ウシさんが祖父ケイリツさんらの骨を半分引き取り、ハワイに墓を建立した。母に倣い、ジョージさんらは誕生日、父の日、母の日と折々に墓参りをする。ジョージさんは「母は『家族のことが一番』が口癖。母はその言葉を実践してきた」と振り返る。

 ジョージさんの一番好きな歌は「てぃんさぐぬ花」。母がよく歌っていたという。妹サンドラさんも、幼い頃から沖縄とハワイの関わりを教えられてきた。6月25日の親族会では、孫世代の5世が「(子どもたちで)1日おきに世話してきたから一緒に」と、戦後の沖縄を助けるため、ハワイから届けられた豚のぬいぐるみが写真に納まった。

アロハの合図で写真に納まるカネシロ家と金城家

 これまでジョージさんらと連絡を取り合ってきた、祖父ケイリツさんの三男の親戚に当たる金城紀美さん(66)は「今日のおかげで、金城家も再び会おうとなった」とハワイの家族に触発されたようだ。

 ジョージさんは子や孫たちに「沖縄の文化、先祖を考えてほしい。家族の絆の大切さを再確認してほしい」と期待する。

 フィナーレのカチャーシーの時、カネシロ家は金城家の手ほどきで、思い思いに踊り始めた。その光景を、ジョージさんはほほ笑みながら見守っていた。

 (玉城文)