【沖縄】沖縄市の「越来グスク整備に不可欠な立面写真を国内外に提供を呼び掛けよう協議会」(平良須賀子会長)の設立集会が8月31日、沖縄市越来公民館で開かれ、活動方針を決めた。
グスクは万国津梁の鐘を鋳造した尚泰久と尚宣威王の王子時代の居城で、500年余の歴史を持つ首里王府の重要拠点。2019年に創世神話による国指定名勝「アマミクヌムイ」に追加指定された。
それを受け市は2022年度に整備基本計画を策定、今年6月に基本設計案も含めてその説明会を越来、城前自治会で開催した。
しかし、過去3回の発掘調査でグスクの広大な規模感は判明しているが、往時の全体像を知る手掛かりはほとんどないのが実情。それは戦後、米軍がコザ十字路整備のため城壁の石垣を採掘したことや集落形成が急速に進み地形の大半を失ったのが理由とされる。
協議会は整備基本計画を補完するため城壁などの写真や関係資料を収集する市民運動を盛り上げるのが趣旨。今年3月、歴代王の「御後絵」など一級史料が米国で発見され、県に返還されたことも大きなきっかけになった。
役員体制は平良会長のほか、副会長に新屋一さん、事務長に船越利幸越来自治会長ら7人が承認された。市や県に米軍工兵隊やその関係機関などに働きかける要請行動に取り組む。市が制作した越来グスクの観光PR動画が流された集会には市内外から約60人が参加した。
平良会長(代読)は「越来グスクの文化遺産を次代に継承するため関連資料の掘り起こしは私たちの責務。今が最後のチャンス」とあいさつ。当時の米兵らが撮影した可能性も推察、期待する。
最後に参加者全員で「頑張ろう」とこぶしを上げ活動に強い決意を示した。
(岸本健通信員)