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街路灯のさび「特許」で打開 その場で修繕、費用も従来の3割程度 うるま市で実施 沖縄


街路灯のさび「特許」で打開 その場で修繕、費用も従来の3割程度 うるま市で実施 沖縄
この記事を書いた人 Avatar photo 玉城 文

 【うるま】沖縄を含め全国で公共インフラの老朽化が課題になる中、うるま市昆布で12、13の両日、塩害などが原因で、さびによる老朽化が進んだ街路灯などの鋼管柱を点検し、その場で修繕する取り組みがあった。これまでは建て替えが主流だったが、今回活用された特許技術により、建て替えに比べて価格が3割ほどで、簡単な作業で修繕できる。関係者は「安全に生活するためにも、鋼管柱の現状を把握し予防保全に努めてほしい」と訴えている。

 作業のきっかけは、県議会などに提出された鋼管柱老朽化の対策を求める陳情書だった。北谷町在住の自営業の男性が、子どもと散歩中に街路灯に穴が空いているのを発見。その他にも学校や公園周辺でも老朽化した鋼管柱を多数見つけ、陳情書を出した。男性は「通学路や公園など人の往来が多い場所でも見かける。危険ではないかと不安だった」と話す。

修繕を受けた後の鋼管柱=13日、うるま市昆布
鋼管柱に接着剤を塗ったアラミドシートを挿入し、内部を補強していく

 全国では老朽化した鋼管柱が多数あるとされ、中には地面に接する根元部分に大きな穴が空き、倒壊の危険性が指摘されるものもある。

 鋼管柱の耐用年数はおよそ20年から30年で、塩害が老朽化を進めるとされる。海に囲まれ、台風が襲来する沖縄では、塩害も深刻とみられる。

 うるま市で13日に行われた現状把握調査では、特許資格を持つトッププランニングJAPAN(東京)の指導を受けた県内業者が修繕を担当した。腐食が進んだ鋼管柱の内部に、FRPシップ工法という特許技術で補強を行った。接着剤を付けたアラミドシートを挿入。空気を入れて、内部の密着性を高めて隙間をなくし、モルタルを入れて固めた。外部が劣化しても、内部に新たな筒状の構造物があるため耐久を維持でき、建て替えで生じる産業廃棄物も大幅に抑えることができる。施工時間も1時間内に終了した。

 経費も35万~40万円に抑えられることも利点だ。トップ―の太田久也さんによると、建て替えに比べて3割程度だという。今回、点検に立ち合ったうるま市役所の新里禎規市民生活部長は「短時間で終わり、低コストも魅力的だ」と語った。

 (玉城文)