世界のトップをひた走る西山走が一般男子の部に出場。予選でセイユンチン、決勝でスーパーリンペイを演武し、それぞれ採点上限ぎりぎりの得点をたたき出して優勝した。西山に空手との向き合い方、子どもたちへの助言などを聞いた。
―世界で活躍する立場として流派の大会に出場する意義は何か。
「剛柔会の大会は、1年に一度基本の形に立ち返る大事な機会。予選のセイユンチンは、普段試合で演武することがないが、練習すると改めて難しい形だと痛感する」
「小学校低学年からこの大会に出続けて、剛柔会の先生方に育ててもらった。日本代表選手が帰ってくると子どもたちも喜ぶので、恩返しのつもりで出場している」
―空手と向き合う上で心掛けていることは。
「勝てない時期と勝てるようになった時期とで大きく違うのは、いろんな人に助言や助けを求めるようになったこと。大学の先輩に演武をする場所を提供してほしいとお願いしたり、先生方に形を見てもらったり。人にいっぱい助けてもらおう、吸収しようという気持ちが芽生え、その分勝って恩返しをしようとの思いもより一層強くなった」
―恩師の教えで心にとめている姿勢は。
「佐藤師範は技術だけではなく、心こそが大事だと話す。『教えは学びだ。子どもたちに教えることは自分の学びになる』という姿勢を心から尊敬している。その姿勢に学ばせてもらっている」
―西山選手を目標にする子どもたちに助言を。
「勝利にこだわる過程は大事だが、結果だけにとらわれないでほしい。私もナショナルチームに入ったのは社会人になってからで、かなりの遅咲きだ。だが、続けていれば必ずチャンスが回ってくるので、空手を好きだという気持ちを大切にして長く続けてほしい」
(聞き手 新垣梨沙)