パワーリフティング 比嘉善浩、男子74キロ級制す<SAGA2024国スポ>


パワーリフティング 比嘉善浩、男子74キロ級制す<SAGA2024国スポ> トータル705キロで成年男子74キロ級を制した比嘉善浩(提供)
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 国民スポーツ大会「SAGA2024」のパワーリフティングで成年男子74キロ級の比嘉善浩(32)がトータル705キロで優勝を果たした。スクワット272.5キロ、ベンチプレス162.5キロ、デッドリフト270キロだった。公開競技として6~8日まで佐賀県内で行われた。比嘉はジュニアで1度、一般で3度、全国を制しており、今回で5度目の全国一となる。2017、18年には日本代表として世界大会出場も果たした。同競技はバーベルを肩に担ぎ、脚の付け根が膝より下になるまでしゃがんで立ち上がる「スクワット」、ベンチ台に仰向けになり、バーベルを胸を付けて持ち上げる「ベンチプレス」、床に置かれたバーベルを垂直に引き上げる「デッドリフト」の3種目で重量を競う。比嘉は那覇市泉崎の琉球新報社を19日に訪れ、優勝の喜びを報告した。

充実感「結果欲しかった」

 中部商業高時代はやり投げの選手だった。陸上に明け暮れ、3年生だった2009年10月に「トキめき新潟国体」への出場を果たし、決勝まで残ったが結果は10位。「入賞できなかったことがずっと心残りだった」と同大会への特別な思いを抱き続けてきた。陸上はきっぱりと引退したが、小学生からの夢だった消防士を目指し、体を鍛える目的も兼ねてパワーリフティングに打ち込んだ。競技歴は14年になる。大会に照準を合わせて練習に励んでいた今年6月、右脚の付け根部分を痛めた。「疲労の蓄積や、柔軟性の低下などが原因と言われるけがで痛みが長引いた」。治療しながらの調整を重ね、万全ではない状態で大会に挑んだ。

 かつて日本記録を出したスクワットで記録更新を狙い、283・5キロに挑んだが、「しゃがみが足りなかった」と判定され、惜しくも認定されなかった。トータルはベストの745キロには届かない705キロだったが、2位を50キロ以上引き離した。「とにかく結果が欲しかった。けがで難しい状況だったが、やりきれた」と充実感を漂わせた。

 デッドリフトのベストは305キロで、現在も日本記録保持者だ。中城北中城消防本部で勤務する比嘉は「職場の理解に感謝したい。パワーリフティングを続けているからこそ、つらい現場も乗り越えることができた。生き方の軸になっている」と競技への愛着を込めた。

 (大城三太)