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【総評】沖縄、目標の30位台に届かず42位 目立った若い力、競技環境はいまだ課題<SAGA2024国スポ>


【総評】沖縄、目標の30位台に届かず42位 目立った若い力、競技環境はいまだ課題<SAGA2024国スポ> 【重量挙げ】日本高校新記録を樹立するなど活躍した本部高の天久星七=8日、佐賀県有田町の歴史と文化の森公園炎の博記念堂(名波一樹撮影) ※注:「炎」は「森」の「木」が「火」
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 国民スポーツ大会「SAGA2024」が5~15日まで佐賀県を中心に開催された。沖縄からは32競技に300人超の選手らが出場した。会期前実施競技は9月5~17日、9月21日~10月1日に行われた。沖縄は男女総合成績(天皇杯)42位だった。男女総合で目標としていた30位台に届かなかった。女子総合は37位。県代表や県出身選手らの活躍を振り返る。

■「王国」の底力発揮

 重量挙げは2年ぶりの団体優勝を果たした。男女総合成績(天皇杯)は18度目、女子総合成績(皇后杯)は3度目の頂点で「重量挙げ王国」の底力を発揮した。

【重量挙げ】女子59キロ級ジャークで108キロを成功させる比嘉成=9日、佐賀県有田町の歴史と文化の森公園炎の博記念堂(小川昌宏撮影) ※注:「炎」は「森」の「木」が「火」

 女子59キロ級は比嘉成(名桜大1年)はスナッチ、ジャークの2種目を制覇し、トータルも1位。少年男子55キロ級の天久星七(ほしな)(本部高1年)は、スナッチで日本高校新記録の110キロ、ジャークで大会タイ記録の120キロ、トータル230キロの大会新記録を樹立し、いずれも1位に輝いた。少年男子102キロ級の石川太陽(嘉手納高3年)はスナッチ、ジャーク、トータルで2位に入った。

■県内在住でも頂点

【やり投げ】少年男子Aやり投げ決勝 67メートル77を投げ、自己ベストを更新する赤嶺勝永=13日、佐賀市のSAGAサンライズパークSAGAスタジアム(小川昌宏撮影)

 若い世代の活躍が目立った。少年女子Bの平良吏美華(那覇西高1年)は50メートル、100メートルを制し、県代表で国スポ(国体を含む)初の2冠を達成した。陸上少年男子Aやり投げの赤嶺勝永(那覇西3年)は自己ベストを更新する記録で優勝し、全国総体の4位から飛躍を遂げた。

【競泳】競泳少年女子B50メートル自由形決勝 トップでゴールし、喜ぶ沖縄の平良吏美華=佐賀市のSAGAサンライズパークSAGAアクア(佐賀新聞社提供)

 ボウリング少年女子団体2人チーム戦は、砂川舞佳(首里東高3年)・稲福観夕(みゆう)(中部商高2年)が制した。同種目での県勢制覇は2005年の岡山国体以来19年ぶり3度目の快挙だった。

【ボウリング】少年女子団体で優勝し、メダルを手に笑顔を見せる稲福観夕(右)と砂川舞佳=8日、佐賀市のボウルアーガス(小川昌宏撮影)

 弓道少年男子の沖縄代表(松本善樹、金城拓実、金城佑飛)(いずれも興南高3年)は得意とする近的(28メートル)で2位、遠的(60メートル)でも3位に入るなど健闘した。

【弓道】少年男子近的決勝 沖縄―栃木 集中して矢を放つ(左から)松本善樹、金城拓実、金城佑飛=佐賀県多久市緑が丘弓道場(小川昌宏撮影)

 水泳の平良、重量挙げの比嘉らは県内にとどまりつつ、小さな沖縄から世界を目指す。それぞれ競技者だった父親から指導を受け、二人三脚で歩んできた。県外強豪校に行かずとも、日本のトップ選手として走り続けている。沖縄からも世界を目指せるという道を切り拓いてほしい。

■競技環境に課題も

 離島県の沖縄は競技レベルや練習相手、設備などに制限があるという課題も横たわる。そのため、より十分な練習環境を求めて県外チームに籍を移して出場した県出身選手の姿もあった。選手たちは仕事と両立を図りながら奮闘する。

 水球女子の砂邊亜衣(神森中―秀明八千代高出、秀明大4年)は千葉選抜で出場し、3年連続3度目の優勝に貢献。「卒業後は滋賀でスポーツ強化指導員として赴任し、競技も頑張る」と先を見据える。

 成年女子ボウリングの高良綾音(那覇商高―岡山商科大出)は、団体4人チーム戦で岡山の主将として35年ぶりの優勝へと導いた。

 競技に集中できる環境を求め、「知り合いの方から声をかけてもらった」と2021年から佐賀へ渡ったレスリング成年グレコローマンの仲里優力(ゆうり)(北部農林高―日体大出、SAGAスポーツピラミッド)は、佐賀の選手と出場が重ならないよう、普段の97キロ級から130キロ級に階級を変えて出場した。22、23年の同大会を連覇した仲里は最重量級でも優勝は譲らず、次々と大男を倒して3連覇を達成。「ロサンゼルス五輪への出場と優勝が目標」と思いは揺るぎない。

 今大会で競技引退を決めていた成年グレコローマン77キロ級の島袋慶生(けいせい)(浦添工業高―日体大出、東新潟特別支援学校教)は2位に輝いた。「沖縄の家族、友人からの応援は大きな力になった」と感謝しつつ、「お世話になった新潟のために指導者として貢献したい」と競技愛を貫く。

 (大城三太、稲福政俊、名波一樹・小川昌宏)