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日米一体化が加速 安保関連法成立8年


社会
日米一体化が加速 安保関連法成立8年 日本の安全保障を巡る最近の動き
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

安全保障関連法が成立から8年を迎えた。政府は、軍備を拡大する中国を念頭に、他国領域のミサイル基地などを破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を決定。日米の運用一体化を進める。米国以外にもオーストラリアや欧州とも協力を進め、対中包囲網づくりを図る。一方、中国はロシアとの連携を加速。東アジアで軍事的緊張が高まる中、安保上の日本の役割は大きく変容してきている。
 松野博一官房長官は19日の記者会見で「法制により、日米同盟はかつてないほど強固となり、抑止力・対処力が向上した。わが国の平和と安全に資する」と強調した。
 政府は2022年12月、国家安全保障戦略など安保関連3文書を策定し、反撃能力の保有を決めた。米国製の巡航ミサイル「トマホーク」を26年度に導入し、国産の長射程ミサイル開発を進める。
 安保法では、米国などが攻撃を受け、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」での集団的自衛権行使を可能とした。政府はこうした事態でも反撃能力の発動が可能との認識を示している。
 日米は、反撃能力の効果的な運用に向け、役割や任務の分担を巡り協議。防衛省は来年度末、陸海空の部隊運用を一元的に指揮する常設の「統合司令部」を立ち上げ、日米連携を一層高める。
 自衛隊が他国の艦艇や航空機を守る「武器等防護」は、22年に米国に27件、オーストラリアに4件実施し過去最多となった。22年11月には米豪に対し、初めて同時に防護した。
 英国への初実施も調整しており、米国以外とも安保協力を進め、対中包囲網の形成を図る。
 一方、中国はロシアの爆撃機や艦艇と共同訓練を実施。台湾への軍事的圧力も強めている。防衛省幹部は「日本は軍事活動を活発化させる中ロ、北朝鮮の最前線にある。防御だけでは国を守り切れない」と指摘した。