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ヒアリングループや字幕機 難聴者の鑑賞を支援


ヒアリングループや字幕機 難聴者の鑑賞を支援 木ノ下歌舞伎の公演「勧進帳」で導入されたスマホサイズの字幕機
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 9月29日~10月1日に那覇市の那覇文化芸術劇場で上演された「木ノ下歌舞伎」の「勧進帳」では、難聴者らの鑑賞を支援するために、全日程でのヒアリングループ(磁気ループ)の作動や、1日のみ字幕機の貸し出しを行った。
 1日に字幕機とヒアリングループを利用した中村成将さん(50)は、生まれつきの聴覚障がいで、普段は手話と口話半々で生活している。舞台鑑賞は好きだが、手話での舞台や、舞台に字幕がついている時のみ。字幕機器をレンタルしての鑑賞は初めてだったという。
 舞台を鑑賞して「内容が全て理解できてうれしかった」と感想を寄せた。字幕機については「大きい音はフォントが大きくなり分かりやすかった」とした。「バイブレーターも利用すると、気づきにくい字幕も分かるかもしれない。字幕の文中に『電子音のような』という表記があり戸惑った。音が分からない人に、この表記は不適切」と課題も指摘。機器が利用できる際の十分な周知も求めた。
 字幕監修も務めた、木ノ下歌舞伎主宰の木ノ下裕一監督は「視覚や聴覚に障がいがある人にとって、舞台は照明や音楽がない状態」と指摘。「演劇の面白さを広くシェアする時、作品の届け方を考えて、作品の解釈にも及ぶ。だからこそ、アクセシビリティ(利用しやすさ)は、作り手である劇団が頑張らないといけない」と話した。 
木ノ下歌舞伎の公演「勧進帳」で導入されたスマホサイズの字幕機