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県、議会同意得ず和解金 道路・導水管不備 車両損害など162件 知事ら引責減給へ


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 県は20日、県管理の道路や導水管の不備により民間の車両や機器が破損した際に和解金を保険で支払っていたが、法令上はその都度必要だった議会同意を得ていなかったと発表した。道路を管理する県土木建築部が1996年から議会同意を得ずに支払ってきた和解金は161件、3363万3724円。導水管を管理する企業局所管では2008年の1件、334万2884円だった。
 県で不適切な事務処理が相次いで発覚したことを受け、24年1~3月、
玉城デニー知事は毎月15%(計55万3500円)減給、2人の副知事は毎月10%(計29万千円)減給する。県三役が事務ミスの責任を取り給与を減額するのは22年7~9月にもあった。28日開会予定の県議会11月定例会に同意議案や月額給与改正条例案などを提出する。
 県によると、土建部管理の道路や県企業局管理の導水管の破損で損害が発生した場合は相手方同意の上で保険で支払ってきた。
 土建部は県に実際の損害が発生していないことから議会同意が不要と誤まった認識をしていた。企業局は設置条例で200万円以上の和解金支払いは議会同意を義務づけている。だが08年当時は担当者が認識を誤まり、保険の免責金相当額5万円が200万円を下回っていたため議会同意は不要と判断をした。
 県では22年度と今年4月にも議会同意を得ていない事案があったことが判明。全庁的に同様の事案がないか精査する過程で新たな事案が発覚した。10月には事務ミスにより本来得られるはずだった国庫補助金が得られず、一般財源で穴埋めせざるを得ない事案も明らかとなった。
 そのほか、県は11月定例会に78億9937万円の23年度第5次補正予算案を提出する。県人事委員会の勧告を受けて33年ぶりの高水準となる県職員の高卒初任給を1万2千円、大卒初任給を1万1千円引き上げるための人件費や物価高騰対策費などを盛り込んだ。 (梅田正覚)