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南海トラフ地震「注意」 宮崎6弱受け 発生率数倍 初の臨時情報 沖縄も津波備えを


南海トラフ地震「注意」 宮崎6弱受け 発生率数倍 初の臨時情報 沖縄も津波備えを 地震で倒壊した鹿児島県大崎町の家屋=8日午後6時21分(南日本新聞社提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 8日午後4時43分ごろ、宮崎県南部で震度6弱の地震があった。震源地は南海トラフ巨大地震の想定震源域内で、気象庁は有識者で構成する評価検討会を臨時開催。発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっているとして「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表した。最大規模の地震が発生した場合、関東から九州にかけての広範囲で強い揺れ、関東から沖縄にかけての太平洋沿岸で高い津波が想定されるとして1週間程度、注意するよう呼びかけた。政府は住民に備えの再確認を求めている。 (2、3、30、31面に関連)
 臨時情報は「南海トラフ地震に関連する情報」(臨時)として、2017年11月に運用を開始。19年に「南海トラフ地震臨時情報」と名称が変わり、現在の基準に改定された。臨時情報の発表は今回が初めて。
 気象庁によると、震度6弱の地震の震源地は日向灘で、震源の深さは約30キロ。地震の規模はマグニチュード(M)7・1と推定される。松村祥史防災担当相は、関係省庁の災害対策会議で、最大震度6弱の地震で負傷者12人、家屋倒壊2棟との被害報告があったと明らかにした。
 気象庁は高知、愛媛、大分、宮崎、鹿児島の各県に津波注意報を出した。宮崎県で約50センチを観測。高知県と鹿児島県でも観測した。
 検討会の平田直会長は記者会見で、普段より数倍発生する可能性が高くなっていると説明。防災行動が必要となる地域について「現時点で、どことは言えない」と述べ、被害が想定される全域で注意が必要だとしている。
 今回の地震は、想定震源域でM7クラスの地震が起きた「一部割れ」に当たるとの見解を明らかにした。

 南海トラフ巨大地震 駿河湾から日向灘沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)に沿って発生する地震。おおむね100~150年間隔で起き、政府の地震調査委員会はマグニチュード(M)8~9級の地震が30年以内に起きる確率を70~80%と算出している。政府は2012年、最大32万3千人が死亡するとの想定を公表。防災対策の進展を踏まえ、昨年から想定見直し作業を進めている。